まちかど逍遥(移行先)

その地の歴史に根ざしたたてものや空間が、めまぐるしく変化し続ける都会の中に、ひっそりと息づいている姿がたまらなく愛しい。

越後屋旅館の本業タイル

これまで本で見て憧れていた、越後屋旅館のタイル。
先日小道さんが見てきて素晴らしかったと言うので調べてみたら、手が届かないような
お高い宿と思っていたのが何とお手頃なお値段じゃないの!
ただしその宿がある角間温泉というところはとてもこじんまりした温泉街で、
数軒の旅館と1軒のよろず屋と3ヶ所の外湯以外に、食べるところもない。
2食付でのんびりする場所だ。

さて、越後屋旅館はその温泉街でひときわ立派な木造3階建て。2階の高欄が
張り出すような形はこの地域の建物の特徴だろうか。
広い部屋で一息ついてからまずは外湯をハシゴ。住民と宿泊客しか入れない外湯は
どれも湯治場のような趣だ。外部から使える洗い場も必ずあって、お湯がだくだくと
流れている。道端の水溜めにも水があふれ、町じゅう水の音のしない所はないほど
水に恵まれた土地である。

夕食後、旅館の内湯へ。扉を開けると、うぉ~~っ!!すごい。
浴室内の洗面台と壁いちめん、藍色の文様の入ったタイルが!


宿のホームページには
「明治後期イタリア製」とあるが、瀬戸の本業タイルだと思う。
日本の伝統模様である七宝つなぎと花菱のアレンジだが、こうもりをモチーフにした柄は斬新だ。


洗面台には銅版転写タイルも使われている。何と素敵なお風呂だろう。

興奮状態で写真を撮っていると汗をかいてきた。。そうだ、ここはお風呂だった(笑)。
ひとしきり写真を撮り終えてから、やっと入浴。
こんなタイルに囲まれながらお湯に浸かってなんと贅沢な時間・・・


実は、トイレのらんま(?)にコウモリモチーフを見つけた。また、部屋と廊下の間の
飾り窓もコウモリらしき図柄があった。
あのタイルから発想してつくられたものか、この宿の先代が無類のコウモリ好きだったか(笑)。


越後屋旅館には、このお風呂を含めて3つの内湯がある。あと二つもタイル貼りで
なかなかカワイイ!しかし、、、外湯2つと内湯1つ入ったら、あぁもう早く寝たい・・・








角間温泉の最寄り駅は、長野電鉄の湯田中駅。湯田中ももちろん温泉街で、そこから
連続するように星川温泉、穂波温泉、渋温泉、上林温泉、、、と連なっている。
いずれも大きな温泉街で、旅館も食べるところもたくさんある。
その中であえて交通の便の悪い、小さな角間温泉に泊まる人はいるんだろうか・・・
と少し心配になったが、煩わしい日常からひととき隠遁するのにはぴったりの隠れ里だ。

越後屋旅館の前の外湯。夜、行燈みたいに光が洩れてなんとも言えない美しさ。
地元の人が次々入りに来ていた。